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人のBCG、犬の狂犬病、あるいは混合ワクチン…「ワクチン」という言葉を聞きますが、果たしてこれってなんでしょう。

Q.ワクチンって、何?
A.人に限らず、生物は自分の体を、自分ではない存在(=病原体)から守る働き(=免疫)を持っています。しかし、未知の病原体や強い病原体に対しては、予め準備をしていなければいざというときに十分に抵抗できません。
そのために、毒性を無くしたり弱めたりした病原体を、わざと予め体に入れることによって、すばやく抵抗出来るようにしておくんです。
この、‘体に入れておくもの’がワクチンです。

Q.犬の病気にはどんなものがあるの?

A.犬の病気には大きく分けて、人(をはじめとする他の動物)にもうつるものと、犬だけに広がるものがあります。
人などにうつる病気には狂犬病、レプトスピラという病気などがあります。これらは人の健康上でもとても重要な問題になります。
特に狂犬病に関していえば、人はじめとする哺乳類全てにうつり、発症した場合有効な治療法はなく100%死亡します。日本では昭和38年以降発症はありませんが、海外では未だに大勢の人が亡くなっていますし、数年前にタイから帰国した日本旅行者が当国で発症・死亡しています。そのため、狂犬病ワクチンの接種が法律で義務付けられています。

犬だけにうつる病気はジステンパーやパルボウィルス感染症という死亡率が高い恐ろしい病気や、感染力が強く風邪のような症状が長い期間続く病気などがあります。


Q.ワクチンって、打つ必要があるの?

A.先ほどお話ししたように、犬のワクチンは大まかに「法律で決まっているもの」(義務)と「病気にさせたくないから打ってあげる」(任意)ものがあります。
狂犬病ワクチンは狂犬病予防法という法律で義務付けられていて、飼い犬として登録するならば接種しなければいけません。接種をしていない犬は野犬としてみなされ処分の対象となります。なので、絶対に接種する必要があります。
これとは別に一般的に言われている「ワクチン」というものは、犬に感染するいくつかの病気を予防するために何種類かの病気をまとめて接種するものです。これが「混合ワクチン」です。


Q.「5種混合」とか「8種混合」とか聞くけど、「混合ワクチン」って何が「混合」なの?

A.犬で広がる病気は様々ですが、その中で
・致死率、感染性の高い病気
・ワクチンを打つことで効果的に予防できる病気
・ワクチンの副反応(副作用)が比較的軽い    ものを組み合わせたものが「混合ワクチン」です。


Q.混合ワクチンで予防出来る病気は?

A.様々ありますが、現在は以下の病気に関してのワクチンが開発されています。
うつりやすく、ワクチンの効果が高い割に副作用が少ない病気です。

ジステンパーウィルス感染症
(呼吸器症状(咳など)・消化器症状(下痢など)・神経症状をおこす病気。致死量が高い。)
パルボウィルス感染症
(特に子犬で激しい下痢・嘔吐、あるいは突然死を引き起こす病気。致死率が高い。)
犬パラインフルエンザウィルス感染症
(俗に「犬かぜ」と言われてきたもの。咳・鼻水などの風邪様症状が主。)
犬伝染性喉頭気管炎
(から咳が長く続くことが多い。パラインフルエンザ等と併せて俗に「ケンネルコフ」と言われることがある。アデノウィルスが原因。)
犬伝染性肝炎
( 急性の肝炎を起こし、黄疸や嘔吐などがみられる。アデノウィルスが原因。)
この5種は基本となるワクチンで、<コア(核)ワクチン>と呼ばれます。

レプトスピラ感染症
腎炎や黄疸を起こします。ネズミが運び屋となり、人にもうつります。川や池、田んぼ等の‘淡水’を介して感染することが多く、暖かい地域(四国・沖縄・九州)では多く見られます。2〜3種類のタイプがあります。
効果を高めるための物質と一緒にしたワクチンのため、その分反応が強く出ることも多く、副作用も考えられます

コロナウィルス感染症
俗に言う「腹風邪」のウィルスで、下痢・嘔吐などが見られます。単独では重症化しないものの、パルボウィルスなどと一緒になると重くなります。


Q.混合ワクチン、打たなきゃだめ?

A.前述べたように、義務ではありません。但し、ワンちゃんの健康を考える上で接種はお勧めします。特にジステンパーやパルボウィルス感染症など仔犬にはダイレクトに命にかかわります。また、未だ広く存在しますし、感染すれば重大な健康被害に繋がるだけでなく、そこから他の子へと広がっていく可能性もあります。そういった意味でも、接種を推奨します。


Q.どうして何種類もあるの?

A.前述したように、ワクチンは体にとっては「異物」です。ですから、むやみやたらに打てば良いというものであありません。接種するからには「効果的」でそれでいて「安全」なものが良いはずです。しかし「効果」と「安全性」は表裏一体です。効果の高い(=反応を強く得る)ものはその分、副反応(副作用)も出やすい傾向にあります。その「効果」と「安全性」のバランスを検討する必要があります。それらの組み合わせにより種類にバラエティがあるのです。
一般的に、基本となるのは5種で、それに加えていく形になります。


Q.うちの子は、どれを打ったらいいのかしら…

A.ワクチンの種類を決めるのは
・健康状態
・お住まいの地域
・犬種
が、これらに関しては、当院の獣医師が学術データ・経験をもとに、事前にある程度検討しておき皆様に推奨いたします。

当院では
<5種混合ワクチン>
●比較的アレルギーを起こしやすい犬種(ダックス・柴・コーギー等)
●仔犬の初回ワクチン

<8種混合>
●川や池、田んぼなど水場遊びの機会が多い
●暖かい地域(関西以西)に行かれる、或いは来た

をお勧めしています。 いずれにしても、一度ご相談差し上げてから判断させていただきます。


Q.ワクチンを打てば100%大丈夫?

A.残念ながら、ワクチンを接種してもごく稀に病気になる可能性はあります。


Q.ワクチンは100%安全?

A.これに関しても100%安全というワクチンはありません。確率的には1000回に一回程度ですが、発熱や下痢、顔(目や口のまわり)が腫れるなどの副反応が起こることがあります。
特にミニチュアダックス・ウェルシュコーギー・チワワ・柴犬・シーズー・マルチーズ等は、副反応が多いというデータも。また、今までは平気でも、当日の体調(表面上に現れていないものもあります)により反応が起こることもあります。
これら副反応を未然に防ぐ為にも、接種前の健康診断等は欠かせません。 又、接種後も十分安静に努めていただき、様子を注意していただきます。 万が一副反応が生じた場合は、それに対する処置をします。そのためにも、ワクチンの接種はできれば午前中に来て下さい。


Q.いつ、どれくらいの間隔で打てばいいの?

A.狂犬病ワクチンに関しては、一年に一回、通常4月の年度替りの登録更新の際に接種が義務付けられています。
混合ワクチンはワンちゃんによって一年ぐらいで効果がなくなる場合もあれば、数年続くこともあります。但し、効果がなくなるとしても緩やかですので、厳密ではありません。当院では一年ごとを目安に接種をお勧めします。


Q.狂犬病と混合ワクチン、一緒に打てないの?

A.ワクチンは異物です。混合ワクチンは製造会社によっては同時に複数接種出来るようにつくっていますが、他種ワクチンとの併用に関しては保障していません。
それだけでなく、何種類も一度に接種すること自体ワンちゃんに負担をかけますので、ご事情が無い限りはお受けしていません。ご了承ください。


Q.料金は…?

A.当院では、2010年1月時点で、

5種混合ワクチン:\6,800-
8種混合ワクチン:\8,400-  です。

メーカーの違いよりいくつかある中で、効果・安全性を検討して選んでいます。
診察料・一般的な健康診断料と、接種時・接種後の対応を含んだ料金です。
なお、ワクチンは各メーカーの開発に余念がありません。 現時点では上記ですが、今後も状況を考慮し、出来るだけ皆さんの負担を軽くかつ効果的に進められるように、料金の改定も検討していきます。

たかがワクチン、されどワクチン。
皆さんの健康で安心した生活が送れるように、お手伝いさせていただきます。
ちょっとでもわからないことがありましたら、なんても聞いて下さい!


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